ひさしぶりに本を買う
久しぶりに本を買った。
しかも買ったことがないタイプの本。
本屋には時折行くが、最近は技術書や辞書以外は買っていない。だから、この本をレジにもっていって買う瞬間、おぉ買ったぞ、と不思議な高揚感があった。
ともかく、ここにはその本のことを書こうと思っている。
だが、その前に個人的な疑問点として、何故この本を買おうと思ったのか(そして実際に買うに至った)が凄く気になっている。
ちょっと考えてみると理由は、2つほどありそうだった。
その2つについて話していこうと思う。
1つめは、紙の本から情報を得る、という事をしようと意識していたから、だ。
普段、情報はスマートフォンから見るニュースやWebサイトから得ている、またオーディオブックを使い、音声で本を聞いていることが多かった。実際、それはそれで満足している。しかし、それほど便利なものが世界に溢れていても、多くの人は本を買っている。僕にはそれが不思議だった。ただ、本を読む楽しさは知っている。どっちかと言えば紙の本を読んできた人生の方が長いし。
もしかすると、指先から感じる本の質感を久しぶりに味わいたいと思っていたのかもしれない。
出かける時に鞄に読みかけの本を入れ電車で開く。外に出て帰ってきたら、100ページほどは読み進んでいる。
目に見える進捗は気持ちが良いものだし、そういう体験を欲していたのかもしれない。
ただ僕は、「本はめくるから頭に内容が入ってくるんだ!スマホはダメだ」と豪語する人は苦手だ。本質は本の内容にあるので、副次的なものが欲しかったら電話帳でも一生捲っていたら、と吐き捨てたくなる。
しかし、めくるという指への刺激や、本を持つ手の感触が、記憶の定着や学習の効率化にどこか影響していそうなのも確かだ。
話を戻そう。
とにかく僕は、本を読むという習慣を手に入れたいと思っていた。
2つ目は、端的に本の魅了だ。
今回買った本は、僕の好奇心を誘った。
表紙のデザイン、詩的なタイトル、新刊の棚に置かれている時事性と、本を買いたい買いたいと考えていた僕の心を奪うには十分な運命性を備えていた。
本屋で、気になった本があったら、皆さんはどうするだろうか、きっと手にとって立ち読みをするか、裏面にあるあらすじをみるだろう。僕はというと、目次を見るようにしている。子供の頃はわからなかったが、今は目次をみればある程度、どういう展開で話を構成しているのかは、ざっくり分かる。
各章のタイトルがどれだけ凝っているのか、本のタイトルの世界観をどれだけ保っているのか、最後まで好奇心をもって読めるのかを判断するには、目次を見るべきだと僕は思っている。
久しぶりに買う本なのだから、ここはしっかり見極めたい。
ペラリと表紙をめくると、目次が登場した。
結論から言えば、僕はこの本を買ったので、目次に満足している。
何がよかったかって、その本のタイトルの詩的さを残しながら、サブタイトルとして横に小さく明確な説明が書いてあることだ。つまり、世界観を大事にしながら、きちんと情報を伝えることも忘れていないのだ。
この瞬間、僕は本を手にとってレジに歩いていた。
久しぶりに買った本だ、大事に読んでいこう。
よく考えてみると、この本を買った理由はもう1つあるかもしれない。
僕には苦手な人がいる。
「本はめくるから頭に内容が入ってくるんだ!」という人である。
その人たちには興味はないが、フィジカルな本とスマートフォンでは記憶の仕方が変わるような気がするのも事実だ。
この本(海馬を求めて潜水を)は、その秘密に迫れるかもしれない。
胸の高まりと共に本を開いた。
6月はこの本を読もうと思う。
Akihiro Yamaguchi
leben編集長
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