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Kamaro’an 

  • 2024.12.19

 

「子供の頃から、両親や地域の人たちがものづくりをしている風景が当たり前だった。近所の山や畑で収穫した素材で大きなお弁当箱を作る。そこに人数分のお弁当を入れてお出かけしてみんなで一緒に食べるの」

Kamaro’anの職人のひとりであるイマイは嬉しそうに言う。台湾の花蓮で生まれ育った彼女は、幼い頃から身近に慣れ親しんだ営みを今も大切に想っている。

「お弁当箱の縁の編み方をモチーフにして、Kamaro’anの鞄にも活かしているの。その編み方は私たち阿美族における伝統的な技術で、今でも暮らしの中で大切に使われているのよ」

だから彼女の手つきには迷いがなく、導かれるように、そして楽しそうに制作を行なっていく。スタジオで作られる鞄に施された装飾は一本の革紐が編み込まれて成り立っている。

編むのは革だけではなく、スゲを編むことで照明も作っている。

いつか自分の理想の自宅にKamaro’anの照明をお迎えしたい。そう伝えると彼女は嬉しそうに、私の編んだ照明をぜひ!と言ってくれた。

 

「阿美族は昔から海と縁があるの。だから部族の長と一緒に考えて海の波をモチーフにして照明をデザインした。”Riyar”とは阿美族の言葉で「海」。そして”Cidal”とは「太陽」を意味する。どちらも私たちの部族で親しみと尊さを持って暮らしの中にある。」

「Kamaro’an」とは阿美族の言葉で「ここに住もうよ」「こっちにおいでよ」を意味している。先住民たちの暮らしの中に散らばっていた美しい言葉を使うことで、今の世代や若者たちに伝統を伝えていこうとしている。

 

「この仕事にはやりがいが沢山ある。様々な素材を染料にして試してみたり、自分たちの部族が昔に使用していた道具を研究したり。私はこの仕事で幸せになっている」

彼女の満ち足りた笑顔。

作ることが仕事となり、誇りを持って取り組む毎日が楽しいという。

「Kamaro’anでの仕事を通して伝えていきたいことは、伝統的なものは、時間や空間に変化があっても昔も今も使い続けられるということ。阿美族の生活美学を伝承していきたい」

花蓮のスタジオでは編みの他に染色の工程も見ることができた。(追々綴りたい。スゲの話も)

染色では余った染料は破棄せずに他の衣類に使用している。暮らしに循環させていくこと。イマイはUNIQLOの服を染色していた。とってもハッピーな色に染まっていて、彼女が嬉しそうに着こなしている姿が想像できた🌱

弾丸の花蓮旅。イマイは「次はもっとゆっくり花蓮を楽しんでね!制作現場にも遊びに来てね!」と自身が手がけた美しいポーチをプレゼントしてくれた♡大切に使います。(続く、、💫)

 

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Ayaka Onishi

大西文香 1994年兵庫県生まれ。写真家。



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